¥24,200
The Yoshijima House:吉島家住宅
268ページ、385カラー+31モノクロ図版、ハードカバー 英語版
著者:畑亮夫(写真)、吉島忠男+工房、八野忠次郎、篠田桃紅、伊藤ていじ
税込価格:24,200円
日本住宅建築の珠玉と言われる飛騨高山の「吉島家住宅」を美しい写真と詳細な折り込み図面で紹介する一冊。
吉島家住宅は、歴史ある古都高山に100年以上にわたって建っている。西田伊三郎の指揮のもと、1907年に建てられたこの複合施設は酒造業を営む裕福な商家、吉島家の住居であった。当時の大工・建築家たちは、江戸時代から明治時代にかけて入手しやすくなったニレ、赤松、ヒノキなどの豊かな木材をふんだんに使った。
母屋の各部分は、さまざまな機能を果たしていた。大きな玄関とそれに隣接する部屋は、店の入り口であり、商売をする場所であった。「かずき」と呼ばれる8畳の和室は、吉島一家が日常的に身の回りのことをする場所だった。建物の2階は来客用で、茶室と仏壇があった。吉島邸の各部屋は、半透明の障子によって光が優しく取り込まれ、瓦屋根の天窓によってより明るく照らされている。
20世紀後半になると、国内外の建築史家が吉島邸を国内建築の模範として刮目し始めた。チャールズ・ムーアは雑誌『新建築』で吉島邸を賞賛し、日本の建築写真家・二川幸夫はその意義をアテネのパルテノン神殿になぞらえた。現在は「生きた博物館」として機能しているが、吉島邸には住人を偲ばせるようなものは置かれていない。このシンプルさが、この建物の素晴らしい職人技を際立たせている。
本書は1984年に刊行された『重要文化財 吉島家住宅』(毎日新聞社)をもとにした復刻版。畑亮夫による385点のカラー写真が体系的に配置・収録され、一部屋ごとの様子の把握が容易になっている。また、6つの折り込みページを含む31点の建築図面により、この邸宅の素晴らしさを余すところなく堪能することができる。