¥2,970
カルロ・スカルパの日本
164ページ、130モノクロ図版+27カラー口絵、ハードカバー
J.K.マウロ・ピエルコンティ/著、三浦敦子/訳
ブリオン家の墓地、カステルヴェッキオ美術館の修復、ヴェニスのオリヴェッテイ社ショールームなどで知られるイタリアの建築家カルロ・スカルパ(1906 - 1978)は日本の建築、伝統文化に心酔し2度の来日を果たしています。読書家であり、また蔵書家でもあったスカルパは、エズラ・パウンドの詩集をきっかけに東洋文化に興味を抱き、岡倉天心の『茶の本』も手にしています。書物を通じて日本文化に強い関心を寄せていたスカルパが、日本に初めて足を踏み入れたのは1969年のことでした。家具会社のカッシーナの招聘を受けて来日したスカルパは、桂離宮、伊勢神宮を巡ります。建築の細部にまで凝らされた伝統と技術の痕跡に感銘を受け、その後の自身の作品に取り込んでいきます。この本は多くを語らなかったスカルパの思想を、残されたスカルパの蔵書や図面から丹念に読み解き、日本に向き合ったイタリア人建築家のプロフィールを描き出す一冊です。巻末に約5000冊になるスカルパ自身の蔵書(「スカルパ文庫」)から、日本に関する文献をまとめたリストを収録。
「戦後の世界の建築界に大きな影響を与えてきたイタリアのスカルパは、1978年、日本で亡くなった。なぜ日本なのか。スカルパには日本に来る必然的な理由があった。その謎を知るにはこの一冊を手にするしかない」―藤森照信