¥2,640
堀口捨己の世界:藤岡洋保(SD選書275)
278ページ、120モノクロ図版頁、ソフトカバー、新書版
税込価格:2,640円
茶室をはじめ日本の伝統建築を自らの作品のみならず建築思想にまで昇華させ、練達の筆によって建築論を展開した堀口捨己(1895-1984)。一般に堀口は和風建築の大家といわれるが、それは「日本回帰」したからではなく「モダニズムのフィルターを通した伝統理解」で、茶室や和の空間構成に新たな意味を見いだしつつ、名席や千利休研究の成果をもとに、八勝館の「みゆきの間」や「残月の間」「さくらの間」「きくの間」のような傑作を生み出した点にある。また日本の建築界において「プレゼンテーション」の重要性に気づきいち早く実践した点にも近年注目が集まっている。それは作品集に収められた自作の図面や効果的にトリミングされた写真に始まり、書物の装丁までを自身で手がけるなど徹底したものだった。本書では、日本のモダニズムを牽引した建築家であり、建築史家・庭園史家・歌人でもあった堀口が、建築における美のあり方を追求した営みを、豊富な資料や実作の図面・写真を交えて紹介する。