¥2,970
瀧口修造・阿部展也・大辻清司・牛腸茂雄 /「前衛」写真の精神:なんでもないものの変容
240ページ、157モノクロ+カラー図版、ソフトカバー
テキスト:日英バイリンガル
税込価格:2,970円
2023年に渋谷区立松濤美術館で開催された『「前衛」写真の精神:なんでもないものの変容』の図録。
1930年代、技巧的な前衛写真が活発に発表されるなか、詩人・評論家の瀧口修造は、写真におけるシュルレアリスムとは「日常現実の深い襞のかげに潜んでいる美を見出すこと」と語りました。瀧口とともに1938年に「前衛写真協会」を立ち上げた阿部展也は、瀧口に共鳴し、『フォトタイムス』 誌上で瀧口の言説に呼応する作品を発表します。それらはシュルレアリスムの詩情を重視する表現から、街や野に役に立たぬものとして見捨てられた風景に「新しく素直な調和」を見出して記録する写真へと変化を遂げました。また、瀧口と阿部に強く影響を受けた大辻清は「なんでもない写真」と題したシリーズを手掛けます。そして、大辻の弟子・牛腸茂雄は「見過ごされてしまうかもしれないぎりぎりの写真」という自身の言葉どおり、独自の視点で周囲の人々や風景を捉えました。
4名の作品を中心に、ウジェーヌ・アジェ、北代省三、小石清、斎藤義重、坂田稔、下郷羊雄、高梨豊、土屋幸夫、勅使河原蒼風、永田一脩、長谷川三郎、濱谷浩、山口勝弘などの作品をあいだに含む、図版157点を収録した本書は、大日方欣一、松沢寿重、畠山直哉による寄稿、豊富な解説と資料を併録して4人の表現者の思想と作品を辿る一冊。