¥11,000
Ellsworth Kelly:Shape, Ground, Shadow: The Photographs of Ellsworth Kelly
160ページ、13カラー+58モノクロ図版、ハードカバー 英語
税込価格:11,000円
20世紀における抽象芸術の可能性に新たな基準を打ち立て、ハードエッジ絵画と呼ばれる作品群を生み出したことで知られるアメリカ人アーティスト、エルズワース・ケリーのキャリアを通じて撮影された写真60点を収録した画期的な出版物。サンタバーバラで開催されたケリーの写真のみに焦点をあてた初の美術館での展覧会に併せて出版されたもの。
ケリーは1940年代後半から、身の回りにあるさまざまな視覚現象を題材に、時代を象徴する抽象芸術作品を制作した。本書に収録された写真は、主に彼自身のために撮影され、自然や建築のイメージを緊密に構成し記録している。しかし、ケリーは写真をもとに絵画や彫刻、紙作品を制作したわけではない。ケリーにとってカメラは、自分の生活環境を芸術へと転写するための、もうひとつの芸術的道具であり、抽象的ではあっても、現実の日常世界における彼の主観的体験と常に共鳴していた。
海辺の階段の影から雪の丘の中腹の道路、陽の光が生み出す建物の影まで、世界への豊かな視線とその視線によって発見された魅力がこの本全体を貫いている。抽象絵画に一時代を画したアーティストの、眼差しと心の動きを鮮やかに直視する機会を与えてくれる一冊。
ハードエッジ絵画
ハードエッジは1960年代に広まった抽象絵画のアプローチで、鋭くはっきりとした(または「ハード」な)エッジを持つ平坦な色の領域が特徴です。「ハードエッジ・ペインティング」という言葉は、1959年にカリフォルニアの批評家ジュール・ラングスナーによって提唱されました。特にアメリカ西海岸の画家たちが、抽象表現主義の絵画的でジェスチャー的な表現形態に反発し、絵具の塗布に意識的に反マニエリスティックなアプローチを採用した作品群を呼称するために使われました。代表的なアーティストにエルズワース・ケリー、フランク・ステラ、ウィリアム・T・ウィリアムズ、サム・ギリアムなどがいます。