¥14,300
IAN KIAER: Endnote, Tooth
320ページ、350カラー図版、ペーパーバック 英語版
税込価格:14,300円
2017年にパリ市近代美術館で開催されたイアン・キアの個展に合わせて出版されたモノグラフ。タイトルの「エンドノート、トゥース」は、イアン・キアが2010年から始めたプロジェクト。「本の余白の注釈」という概念に基づき、そのモチーフや構成は状況によって変化する。
ここ数年キアは思考のモデルとして住宅建築の問題に着目し、特にクルツィオ・マラパルテの『カサ・マラパルテ』(*1)、ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインの『クントマンガッセ』(*2)、コンスタンティン・メーリニコフの円筒形の家(*3)、そしてフレデリック・キースラーのアンビルド作品『エンドレス・ハウス』(*4)のコンセプトを研究している。
また、美術史や建築史を参照し、自身のアイデアの根底にある構造的な関心に導かれながら、キアは「マイナーな形式」としての絵画へのアプローチを発展させてきた。彼のインスタレーションにはそれぞれ、思想家、建築家、哲学者、ユートピア主義者に関連するタイトルが付けられており、日用品や再利用された素材が、その用途や外観に疑問を投げかけるように組み立てられている。
*1)クルツィオ・マラパルテ(1898- 1957年)はイタリアの作家、小説家、ジャーナリスト。イタリア南部のカプリ島に、ジャン・リュック・ゴダールの映画『軽蔑』(1963年)の舞台としても有名な「世界で最も美しい住宅」と言われる「CASA MAALAPARTE(マラパルテ邸)」を自ら設計した。
*2)ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン(1889 - 1951年):オーストリア・ウィーン出身の哲学者。建築家パウル・エンゲルマンと共同で設計を行なった「ストンボロー邸(クントマンガッセ)」(1928年)は、ヴィトゲンシュタインがその生涯で唯一「建築家」として仕事を行った建築として知られている。
*3)コンスタンティン・メーリニコフ(1890 - 1974):20世紀初頭におけるロシア構成主義建築、アバンギャルド建築の巨人のひとり。
社会主義革命後のソヴィエトにおいて旧来の建築の原則を根底から覆すようなフォルムの建築を設計。1924年パリ万博ソ連パヴィリオン、八角形の窓を持つ自邸(1929年)などで知られる。
*4)フレデリック・キースラー(1890 - 1965年):オーストリア/ハンガリー帝国生まれの建築家。1926年アメリカに移住。代表作の「エンドレス・ハウス」で環境的、生態系的建築を提唱しアンチモダニズムを掲げた。 建築を建てない建築家「アンビルトアーキテクト」としても知られる。
イアン・キア
1971年ロンドン生まれ。
建築模型や水彩、素描、オブジェクトなどを組み合わせた作品を制作。繊細な素材を通して、物質の間にある見えない関係性や潜在する記憶を示唆している。
現在ロンドンとオックスフォードを拠点に活動。