¥15,400
エド・ルシェ:今、そして(ニューヨーク近代美術館回顧展図録)
Ed Ruscha / Now Then: A Retrospective
340ページ、265カラー図版、ハードカバー 英語
税込価格:14,000円+税
1960年代、アメリカでのポップアートの生誕地のひとつと言われるロスアンジェルスのフェルス・ギャラリー。アンディ・ウォーホルや当時カリフォルニアに隠遁生活を送っていたマルセル・デュシャンらが集い、周囲からは完全に異端視されていたその場所で自身の初個展を開催した一人の若いアーティストがいました。ギャラリー内には「SMASH」「NOISE」という文字が描かれたキャンバス作品、エントランス横のショーウィンドーには、紙に油彩で描かれたアール・ヌーヴォー風のレタリングの作品「Metropolitain. 1961」が飾られていました。アーティストの名はエド・ルシェ(ED RUSCHA)。ポップアートの”アンファンテリブル”といわれたルシェはその後65年に渡りアメリカの最も重要なアーティストの一人として世界中の美術館、ギャラリーで展覧会が開催されてきました。その驚くべきキャリアを網羅し、彼自身の領域横断的なアプローチを反映した展覧会が現在ニューヨーク近代美術館で開催されています。
この回顧展では代表的な絵画作品はもちろん、ポップアートをコンセプチュアルアートに接続するような作品群も展示されました。またルシェの自主制作の書物を紹介するセクションでは、高速道路を走る車から機械式のタイプライターを放り投げ、着地ポイントから破壊された各部品の飛散した場所を記録するという「ロイヤル・ロード・テスト」、マッチからガスコンロや蝋燭までの「小さな炎」とグラスに注がれた牛乳の写真だけを並べた「ヴァリアス・スモール・ファイアズ・アンド・ミルク」といったのちに”アーティスツ・ブック”と呼ばれるようになる仕事も展示されました。本書は、1958年から現在までに制作された、絵画、ドローイング、版画、映画、写真、アーティスツ・ブック、インスタレーションなど250点以上の作品を収録。これまでで最も包括的なルシェの作品を紹介する一冊です。
エド・ルシェ(1937年生まれ)はオクラホマシティで育ち、1956年にロサンゼルスに移住。1960年代初頭にフェルス・ギャラリーで初個展を開き、1962年にパサデナ美術館で開催されたウォルター・ホップスの画期的なポップアート展「New Painting of Common Objects」に出品。以来、幅広く作品を発表しており、2009年にはヘイワード・ギャラリー(ロンドン)で「エド・ルシェ:絵画の50年」展が開催され、ハウス・デア・クンスト(ミュンヘン)、モデルナ美術館(ストックホルム)を巡回した。2005年、第51回ヴェネツィア・ビエンナーレにアメリカ代表として参加。ロサンゼルス在住。