¥3,850
宗徧風 イップクイカガ
144ページ、ソフトカバー 日・英語
山田宗遍・著/桐島ローランド・写真
価格:3,500円+税
「茶の湯とは何なのか、どうあるべきなのか、ずうっと考えてきた」と語るのは、宗徧流十一世家元山田宗徧。宗徧流とは、千利休の高弟山田宗徧を祖とする茶の流派。「現代に意味のある茶の湯」「交流の場としての茶室」を目指す現家元の茶会は、伝統的な茶室を抜けて出て、意外な場所で催される。本書は新しい茶の湯の世界を桐島ローランドの写真で見せるビジュアル重視の茶の湯の本。
ロンドンにあるタイ人の家具デザイナーのペントハウスでは、進取のアーティストやスーパーモデルを客に迎え、伝統とモダンが融合した茶会が開かれた。湘南の葉山茶会は海辺の別荘が舞台。潮風に頬をなでられながらイタリア料理とともに茶の湯を楽しむ。表参道のマンションの一角にある三ヶ月庵の正客は女優の一色紗英。床の間の飾りは、古い花入れにさした椿に「タトゥー」と題された掌の写真。ポップ・アートとお茶。異質なものの組み合わせで、茶の世界が際立つ。
家元は、歴史を作るリーダーたちに茶をたしなんでほしいと言う。「自然と芸術が、そして歴史と哲学が凝縮した空間で、心を練り、礼を知り、智を磨き、見る、触る、聴く、かぐ、味わうの五感を研ぎ澄まし、濃やかな気配りと美しい立ち居振る舞いを身につける。そんな学校が何処にあるだろうか。しかもこれは遊びなのである」。伝統文化の懐の深さが感じられる一冊。