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2021/03/10 14:13

昨年末にフランスで出版された一冊の料理本。表紙にあしらわれた、掌を重ねた写真が焼きつけられたデイナープレートが印象的なこの本には、著名な料理人やアーティストが考案した37皿の料理の美しい写真がレシピとともに掲載されています。

『REFETTORIO: 37 RECETTES ANTI-GASPI』

実はこの料理本、パリのマドレーヌ寺院の一角にあるホームレスや海外からの難民たちに無料で食事を提供するレストラン「Referettorio(レフェットリオ)」でのメニューを紹介し、同時にその活動理念や実践を記録したものです。
またタイトル『レフェットリオ:37の廃棄食材対策レシピ』が示すように、日本を含む先進諸国におけるスーパーマーケットや商業レストランなどから出るフード・ウェイスト(食品ロス/廃棄食材)の問題を、シェフやアーティストらのクリエイティビティによって乗り越えようとする試みの最新の報告でもあります。


このレストランを立ち上げたのがスローフード発祥の地でもあるイタリア出身のシェフ、Massimo Bottura(マッシモ・ボットゥーラ)。2018年、マッシモは自身が運営するフード・ウェイスト(食品ロス)の問題に取り組む団体「Food for Soul」の活動の一環として、最も貧しい人たちに食事を提供するレストラン「レフェットリオ」をオープンしました。
MASSIMO BOTTURA

レフェットリオの内装は、リサイクル資材を使用することで有名な建築家Nicola Delo(ニコラ・ドロン)が手がけました。そこには様々な表情をした人々のモノクロポートレート写真を大きく引き伸ばしてプリントし建物の外壁や、道路上に貼り付けけるというストリートアートで有名なフランス人アーティストJRと、彼のパートナーでもあるPrune Nourry(プリューヌ・ヌーリー)が共同でインスタレーションを設置し、歴史的建築物であるマドレーヌ寺院の空間をまるで現代美術館のようなスペースに変えています。

さらに、JRとプリューヌ・ヌーリーはこのレストランのためのプレートを制作し、自らもレシピを提供。JRらの他にもパリ16区のレストラン「アストランス」の共同オーナーシェフを務めるパスカル・バルボ、21世紀のパティスリー界を先導するショコラティエ/パティシエのピエール・エルメ、映画監督のアニエス・ヴァルダらがこのプロジェクトに参画しています。



料理も美術も共に人がその手で作り出し、多くの人の「糧」となるものと言えます。その二つが溶け合い、美しく熱意を持って実践されている稀有な例を記録したこの本『レフェットリオ:37の廃棄食材対策レシピ』は、美食と美術を愛する人のみならずクリエィティビティを通じて世界を変えていこうとする人すべてにオススメの一冊です。

またこの本の出版にあわせてJR とプリューヌ・ヌーリーの作品がプリントされたBENTO BOXも登場。今はレフェットリオに行くことができずとも、そのエッセンスを毎日の生活に加えてみるのも楽しいのでは。





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