KEITH HARING POP UP BOOK
16ページ、見開きポップアップ6点収録、ハードカバー　
税込価格：14,000円

キース・ヘリングは生前から、自身の作品がポップなオブジェクトやプロダクトになって多くの人々や子供達に届くことに積極的なアーティストだった。美術作品の持つ「オリジナル」という価値よりも、「全ての人のためのアート」という考え方を表明する人だった。今では世界中のどの地域でもキースの作品をプリントしたウェアをまとった子供たち、腕時計やアクセサリーをコレクトする大人たちで溢れている。
興味深いのはキースの作品を何らかの商品に変換する作業が、デザインを手がけるクリエイターたちにとっても楽しくチャレンジングなものである、という事実である。今回紹介する『KEITH HARING POP UP BOOK』をデザイン（エンジニアリングといっても良いだろう）したサイモン・アリズペ氏にとってそのデザイン・プロセスは、2011年のブルックリン美術館でのキースの回顧展に始まり、それからなんと12年を費やすことになる。それまでは多くの人と同じように、鮮やかな色彩と親しみやすい視覚言語を通してキースの作品に触れていたが、ブルックリンの個展を見ることでアート界とマイノリティの権利に対するキースの複合的な遺産を理解するようになったという。「彼のアーカイブを調べ、彼の作品を本当に研究し、ポップアップ・ブックに最適と思われる作品を選ぶというまたとない機会を与えられた今、同じアーティストとして彼をより深く理解できるような気がしています」。
その熱意が生み出した本書には、1982年のHouston Streetでの壁画制作のシーンから、キースのアイコンである「DOG」そして1984年の象徴的な作品「天国と地獄の婚姻」など6作品が収録されている。わずか6点というなかれ。全ての見開きからはキース作品の持つエネルギーがいささかも損なわれることなく放たれている。ページをめくるごとに大きな驚きと喜びを読者にもたらし、子供から大人までがひとときでも現実を忘れ、キースの不思議の国に迷い込むことを約束してくれる。愛する家族や友人への、または1年間がんばった自分へのプレゼントとして躊躇なくおすすめできる一冊です。