JOHN BALDESSARI: CATALOGUE RAISONNÉ VOL.4 1994–2004
536ページ、370カラー＋モノクロ図版、251 x 292 mm、ハードカバー／箱入り　英語
価格：36,300＋税

20世紀後半のアートシーンにおいて極めて重要な存在だったアメリカ人アーティスト、ジョン・バルデッサリ（1931~2020）の全作品を収録した「カタログレゾネ」の第4巻。コンセプチュアル・アートの重要作家と言われるバルデッサリだが、ファウンドフォト（作品の為に撮影されたのではなく、既に存在する写真イメージ）の使用（時に剽窃とも呼ばれた）や、言葉とイメージの関係性に向けた言語学的なアプローチによる解体／再定義を指向した作品は、その後1980年代以降の現代美術の流れを決定的に変えていった。その活動はシンディ・シャーマンや、バーバラ・クルーガーらに大きな影響を与えた。またアーティストとして作品を制作・発表する一方で、CalArtsなど西海岸のアートスクールで教鞭をとり、マイク・ケリー、ジャック・ゴールドスタイン、トニー・アウズラーらを指導した。

第4巻は、1994年から2004年にかけての作品の変遷と発展を辿る一冊。バルデッサリは一貫して写真を使用したアプロプリエーションの可能性を問い続けているが、この時期には写真という枠の中でその意味と一つの物語を生み出すための独自の手法をさらに発展させている。本書に含まれる「Goya series」は、キャリアの初期に確立した「フォト・テキスト」作品を再解釈したものであり、本シリーズでは写真とテキスト組み合わせた作品を制作している。加えて、2000年から2002年にかけて制作された「Overlap, Intersection, and Junction」では画面の中における空間の概念に言及、それぞれのシリーズが前のシリーズをベースにしていることが見てとれる。年表とともに併せて収録された美術評論家であるロバート・ストアーによるエッセイでは、この作品を精査し、作者のキャリアの変遷とより広い歴史的背景の中での位置づけがなされている。